チヌ(クロダイ)の落とし込み釣りとは落とし込み釣りとは、簡単にいうと、防波堤や護岸でのチヌ(クロダイ)釣りの釣法です。
フカセ釣り、ヘチ釣り、ボタ釣りなど各地域によって呼ばれかたは様々で、古くから伝わっている堤防・護岸でウキを使わないチヌ(クロダイ)釣りのことです。 ウキを使わず、糸とオモリ・鈎だけの本来の純粋な「フカセ釣り」を基本として、流し釣り、キザミ釣り、底フカセ・沖フカセなどという様々な釣り方がありました。 その釣り方の1つで、オモリを少し重めにしてピンポイントに餌を落とし込む釣り方を落とし込み釣りと呼んでいたということです。
その類を見ない釣果に各釣りメーカーが注目し、ファッショナブルなスタイルを加味して1980年代からロッドやリール・専門のグッズを積極的に開発しだしました。 それらのスタイル・釣法の総称として「落とし込み釣り」としたことから全国にその名称で広まっていくことになりました。 名称・スタイルを一般化したという意味では釣りメーカーの功績は大きいと考えられます。
以降、落とし込み釣りといえば、釣る際にイガイやカニ・フジツボなど自然に存在する餌を主として使い、それが自然に落下していくように演出させながら、堤防のキワに捕食にきているチヌ(クロダイ)を釣る方法ということになっています。
防波堤や護岸のキワには餌となるイガイ・フジツボ・カキ・イソギンチャクなどが付着し、カニ・エビ・イソメなどの海の小動物も住み着いています。チヌはそれらを食べに思いもかけない所まで来ています。 ですから防波堤(波止)や護岸はチヌの絶好の釣り場となり、「こんな都会のすぐ近くで、そんな大物が!」と驚くような釣果を出せるのが落とし込み釣りなのです。
防波堤は護岸の構造は場所によって様々で、一般的な垂直ケーソンをはじめ穴が開いているケーソンやスリット状になった升ケーソンや立っているケーソンの下は海水というオーバーハング、高さや深さも場所によって様々です。 そのため、先に紹介したフカセ釣り、ヘチ釣り、ボタ釣り、前打ちなどの名称や釣り方が自然発生的に工夫されて各地に根付いているのです。つまり総称としての落とし込み釣りは各地で様々な釣り方の特徴をもっているのです。
落とし込み釣り 仕掛け
上の仕掛けは一般的な落とし込み釣り仕掛けで私が主に使っていたものです。(現在では殆どヘチ釣りスタイルでやっていますが) これを基本として仕掛けを考えていけばあとは自分に合った応用をしていけばいいと思います。 目印はあってもなくてもかまわないですが、ないときは色つきの道糸で糸の変化を見てアタリをとります。
東京湾などの関東では低い堤防が多く、2.4m〜2.7mぐらいの長さの竿で目印を使わないヘチ釣りが主です。 中京・関西は足場の高い堤防が多いので長めの竿にアタリが見やすいように目印仕掛けが使われていることが多いです。
私がホームグラウンドとしている博多沖の防波堤での落とし込み釣りも昔から伝わってきたフカセ釣りから発生した釣り方で、最も盛んな頃は上の図のような仕掛けが一般的でした。 現在はヘチ釣りと目印仕掛け両方とも各自の好みで楽しんでいる光景となっています。
リール
ハリ(落とし込み専用鈎)
タックル・グッズ
落とし込み釣りには専用に作られたものが便利です。落とし込み用ロッド・落とし込み用リール はもちろんのこと、落とし込み用タモ、落とし込み用ベスト、落とし込み用ベルト、落とし込み用道糸…など、メーカーから様々な専用グッズが開発されています。 ただ、一旦、タックルを揃えるとルアー釣りや磯釣りのようにルアーや浮子などをたびたび買い増すことはしなくてすみます。餌も自分で採ることができるので安上がりな釣りです。 そのためメーカーも磯釣りやルアー釣りに比べると売り上げは期待できないので、落とし込みタックルやグッズの種類は多くありません。 釣り方・ポイント
防波堤や護岸の少し後ろに立ち、海をなるべく覗きこまないようにします。防波堤を歩くときも不用意に波止際を歩いたり影を海面に落としたりして釣り人の顔や体・影が魚から見えると、せっかく海面近くや岸壁に寄ってきていたチヌ(クロダイ)が逃げてしまいます。 チヌはイガイなどの着生物やそこに隠れているカニやイソメ・エビなどの小動物を食べに来ていますので、イガイの層が出っ張っている付近が落とし込み釣りでは一番の狙い所です。 長い防波堤のポイントは、やはり潮が流れているところや、ケーソンの継ぎ目で潮が変化している所など潮の流れが複雑になってるところです。
釣り方は、目印仕掛けであっても目印がないヘチ釣りでも落とし込み釣りの基本は、糸フケをつくることです。
目印がある仕掛けなら、海面に3つほど印を浮かせ、ひとつ沈めばひとつ海面に置くような釣り方をします。 目印がなく道糸の変化だけでアタリをとるヘチ釣りの場合も糸を張って落とすのではなく、やはり左の絵のように、糸フケをつくり、海面に少しずつ糸を置きながらだんだんと竿をおろしていくようにします。 チヌの落とし込み釣りは、撒き餌をするウキ釣りとは違い、チヌがいる場所へ釣り師の方が移動していく釣りです。同じ場所で粘るのではなく、アタリがなければどんどんと移動しながら釣っていきます。 アタリがあれば魚が群れていることもあるのでしばらくは重点的にそのポイントを探るのもいいでしょう。
アタリとアワセ
糸が不自然に止まる。張る。横に動くなど糸の変化があります。また急に引き込まれることもあります。 様々なアタリがあるので、おかしいな?と思ったら少し穂先でキイてみます。 少し動く感じや、柔らかいものに掛かっているような感じがあればシュッと鋭く短く手首を返して、鈎に掛けるイメージでアワせます。 竿を大きく立ててアワせるのでなく、50cmぐらいも穂先を鋭く動かせば鈎に掛かります。よけいな大アワセは根掛かりの場合竿を折るし、掛け損なったとき近くのチヌも逃げてしまいます。 掛けたあとは手首・肘に力を入れて竿を伸されないように角度を保ち、まずなるべく早めにリール数回巻いて主導権を握ります。。 取りこみ
魚が掛かったら、竿を魚から90°ぐらいの角度を保ち、魚の力が弱まったらリールを巻く、それの繰り返しで寄せてきます。 気をつけることは、スリット状の波止や穴の空いた波止・パイルの脚があるところでは、チヌが中へ入ろうとしたりパイルに糸が巻いたりしてラインが擦れて切れてしまうので、場合によっては早めにやや強引にリールを巻くことも必要です。
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