釣行日 | 場 所 | 潮 | 月齢 | 干満 | 水温 | 天気 | 風 | 状態 | 餌 | 釣果 | サイズ |
12月30日 (火) |
長崎県 S港 |
小 | 8 | 満14:00 干 7:14 |
15 | 晴 | 北西 |
澄 | カニ |
3 | 34、39、 48.5 |
竿納めは水深1mいよいよ今年も押し迫ってきて、さしたるチヌの落とし込み釣果無し。 28日は大分に行ってRISU・KUMA・ViVian3人撃沈、長崎市で一晩中粘ったみのるんも撃沈、29日佐世保郊外に行ったRISU・KUMA名人2人も撃沈。 もう、ここいらで落とし込み釣りで釣れそうなところは、なーい。 ないのに、このままでは年を越したくない。といっても30日は同行者もいないので一人じゃ遠くには行けないし。それでも行く? と自分に言う。ウ〜ン…。 29日の夜10時過ぎ、カァちゃんと二人で雰囲気よくワインを飲んでいた。子ども二人はバイトや打ち上げとかで、いない。 カァちゃん 「明日なんすると?」 「…釣りに…行きたいんやけどー。」 カァちゃん、キッと僕をにらみ 「行ってこい、このー。釣れるまで帰ってくるな!」 ファイァー! 最後のバクチ。 わずかな可能性に挑戦して撃沈してもヨカ。それで今年は終わろうと決めたのです。 長崎県S港。(1)暗いうちにある場所で試し、(2)ダメなときは型は40前後だけど5割の確率で1回だけ当たる場所でやり、(3)満潮時だけ前打ちで出るかもの場所に賭ける。 真夜中に起き出し、1時間半で目的地。 潮は最干前。暗い中をモエビを付けて落とし込む。メバルもあたらない。潮も動いてなく、気配ゼロ。 1時間足らずでやめた。早くも可能性(1)はボツ。暗いの苦手だしね。 正月前でごった返す朝市をぶらぶらのぞいたり、仮眠をしたりして夜明けを待つ。 さて、夜が明けた。ここは可能性(2)の場所。確率50%。出ても40cm。探る範囲は非常に限られている。30分で結果は出る。 車からおもむろに出て、甲羅1cmぐらいのカニを2号のガン玉をかませたダゴチン専用鈎2号に付ける。まず、タナ2mまでを探り、浮いているヤツを狙う。 3投目、糸が張ったところで、コン、コン。クッ。穂先を押さえた。来た! チョンと合わせる。運がいいぞ今日は。キュ・キューッと走って、水面を割ったのは、 「やっぱり君ーぃ。」 ガックリ、34cm。ここはしょうがいないか。マ、釣れてよかったってことにしよう。 その後アタリなし。場所を替えて、他の岸壁を探ったが、自分の落とし込み実績のないところではどうもやる気が出ない。そろそろ最後の賭けか。 でも、潮はまだ低い。11時過ぎまでじっくりを潮を待っておこうと、また車でぐっすり。 RISUさんの電話で目が覚める。 「どうですかあぁ? そろそろ潮が上げ3分ぐらいのいい時間じゃないぃ〜?」 「だめですぅ。30cmぐらいのが1枚だけ。」 「そう、じゃーねー。頑張って〜。」 10時半か、もうそろそろやね。RISUさん丁度いいときに電話してくれたね。目覚ましベルみたい。 竿をヘチ竿から落とし込み竿5.3mに替えてと、まだ時合いは早い。 狙う場所はこれまでヘチ釣りのついでにちょっと竿だししていた場所。以前は、たまにカニをつぶされたりしていたが、沈みがあり、ヘチ竿の沖フカセではうまく探れないので重点的に攻めたことはなかった。今日の狙いはここを長竿でなめるように探りまくることだ。 あそこに最初に落として、そこを探って、次、あそこに落として。ダメだったら向こうのあそこをやってみよう。潮が上がって来るまで岸壁に座って作戦を練りながらじっと待つ。 さて、もういいかな。腰を上げて、最初に狙った場所に打ち込む。上げ潮は丁度手前に緩く押してきて、重ねて向かい風で、潮は若干濁りが出ている。 2投目、沈みの向こう側にうまい具合に入った。竿を上げて、沈みのキワをゆっくり落とす。なにせ満潮時で2mぐらいの水深なので、すぐに仕掛けは着底する。少しキキ上げると、クイ・クイと糸が横に少し動いた。喰った。チョンと軽く合わせて口に掛け、すぐに糸を緩める。沈みのすぐ向こうに魚がいる。そのまま竿をためると、1発で切れてしまうのは目に見えている。 魚はちょっととまどったか、右に左に首を振りながらどこに行こうか迷ってるようだが、やっと我に返ったか沖に向かった。ここでもう一度合わせるとグイーと竿に乗った。 案外いい型だぞ。沈みを回して、浮いてきた。いい顔つきだ。ゲーット!11時20分。 これは40UPあるジェー。ラストチヌ候補〜。 と、メジャーをあてると。え? 39〜。そんなぁ。ぐわっくり…。 気を取り直し、周りを探るが、それ1枚だったのか散ったのかアタリなし。 終わったかなぁ。これで今年は…。 座って、じっとしていると、ふと目に付いた。潮が引いているときカニを獲った場所の横に、排水が流れていて、そこが今、しっかりと濁っている。 ちょっとやってみるか。 バカを出して流れの横に打ち込む。チヌは流れの速い流心より、流れの境目の緩くなった場所にいることが多い。 放り込んだ仕掛けは、矢引の長さのハリスが入ってすぐに止まった。 「水深1mぐらいやね。」 つぶやいて、ちょっとキクと、クン・クンとする。反射的にクッと合わせた。 グルン・グルン。何かが掛かってそこらを回り出した。強い。5.3mの竿をグーッとためても、そいつは浅場を走り回り、ガンガン抵抗して一向に浮いてこない。 こ・これはァ…。しばらくして、ガバッと顔を出してまた、もぐった。 チヌ! でかい。 真剣になる。まさか。まさか! 獲るぞー。はずれすなよ〜。 祈りながら、やっと浮かした。50UPの顔だ。 「奇跡が起こったバイ。奇跡バイ。」 つぶやきながらタモに入れ、岸にどさっと横たえる。12時30分。 自分ながら、ここでまさか釣れるとは。メジャーでざっと測ると50cm。 車に帰り、RISUさんがみんなに配った検量器で測ると48.5cm。約1.7kg。 ま、これでヨカ。 最近の落とし込み状況の中で、3枚に50UPは贅沢というもの。 しかし、チヌ釣りってホントに面白いね。今年最後のドラマをありがとう。
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釣行日 | 場 所 | 潮 | 月齢 | 干満 | 水温 | 天気 | 風 | 状態 | 餌 | 釣果 | サイズ |
12月25日 (木) |
長崎 |
中 | 3 | 満11:05 干16:23 |
17 | 曇 | 北西強 |
澄 | カニ |
サンバ | (32) (40) |
サンタよりサンバクリスマスイブ。 真夜中の街は不夜城のようにイルミネーションがきらめき、まだ帰りたくないたくさんのアベックの顔を赤や金色に映し出している。 その中に釣具を担いで歩く、全くミスマッチのおじさんが一人。心なしか、影ふみのように光の陰を渡り抜けながら。 別に悪いことしてるんじゃないが、キラキラと点滅する大きなクリスマスツリーも、ずらりと床に並べられた赤く輝くキャンドルも自分のためじゃないって分かってる。 閑散としたフェリーターミナルについて、なんだかホッとする。 目指すはヨコ島。 サンタじゃくて、サンバが目当て。ヨコシマなんです。 フェリーに乗って早朝到着。日付は変わって12月25日。この時季なのに暖かい。風もない。しばし仮眠し、夜明けを待って、さて準備。 作戦1;岸壁でチヌ釣って、作戦2;それからサンバ狙いと、ちゃんと計画は立っているんです。 なんでこの時季にここに来たか。 ここはチヌはまだいる。落とし込み釣りでも釣れる可能性が高い。サンバは2月に釣っているという過去のデーターで、ここしかないと思ったから。 ところが、狙いのチヌポイントは、すでに地元のじいさん・ばあさんがサビキでドッポンドッポンやってるじゃない。アチャ〜! 1時間弱、探ったがダメ。作戦1は見事にはずれた。う〜。 丁度、通りかかった瀬渡し船に手を振る。 今度は沖堤でサンバ狙い。運がよければチヌも。 ところが、ところが! ポカポカ天気のはずが、強風が吹いている。 波止の外側は立ってられないぐらいで、真っ白い波頭の群れが波止にバッシャーンと打ちつけている。風は波止内側にも回り込み、フジツボを付けた軽い仕掛けなんかとてもまともに落ちていかない。マイッタ。 一緒に上がった浮子釣りの人が、 「昨日もこれだったんですよ。でも、昼過ぎの下げ潮になったら、風が緩むはずだから。それから入れ食いだったんです。辛抱しましょ。」 と、クーラーを開けて見せた。中には手のひら、足の裏サイズのクロが、ところ狭しと入っている。 「へぇ〜!」 しかし、それまでどうするの。 ガン玉6B3個を鈎チモトに付けて、サンバポイントで時間をつぶすことに。仕掛けはようやく落ちていくが、竿は風に持っていかれるばかりか、体まで飛ばされそう。たまらんなぁ。 底まで落としてはベラにカニをかじらせること1時間ばかり。 道糸4号、ハリス3号、鈎はダゴチン専用3号。これでもベラが底根で引きずれば、ハリスはすぐにザラザラになる。 風でよく分からないが、何かがじっとくわえた。とりあえず合わせ。 グイッと締め込んだ。来たか。ヘダイか。サンバか。 まあまあの引きをして白いのが上がってきた。サンタだ。じゃないサンバだ。32cm。 型は満足しないが、狙い通り、いたね。この、狙い通りって言うのがうれしい。 潮は、右に左に変わる。ここはいつもこんな動きをするが、動きがあるのがいいのかな。
2・3度追いアワセをくれる。今度はさっきよりも格段引きが強い。 これは獲るぞ〜。はずれるなよ。 竿が伸びないように腰を落としたり上げたり。浮いてきた。真っ白。 まさかヘダイ? いや違う、シマシマだ。 うれしー、2枚目。これはキロUP。 3枚目を狙って頑張っても、下げ潮になるにつれ、潮は止まり、止むはずの風はさらに強さを増し、もう限界だった。 |
釣行日 | 場 所 | 潮 | 月齢 | 干満 | 水温 | 天気 | 風 | 状態 | 餌 | 釣果 | サイズ |
12月14日 (日) |
大分 |
中 | 21 | 満11:30 干 4:30 |
16.5 | 晴 | 北西 |
澄 | カラス カニ |
2 | 31 36 |
大捕物 はて?熊さんに、 「休み、どこにいく〜?」 と電話すると、 「先週は私が案内したので、今度はオチさんが隊長。隊長、どこか決めとって下さい。」 実は、長崎で落とし込みチヌ・ノッコミアラカブ・メッキと欲張っていたが、どうも情報ではチヌもメッキもサッパリらしいので、しょうがなく東に走ることにした。久しぶりのギャランドウさんと3人で大分に。 漁港でカラスを取り、波止に立つ。 穴ポコケーソン。チヌは? ちょっとだけ、チラとのぞいたが、昇ったばかりの冬の淡い太陽の日陰になっていてよく分からない。浮いてないようだね。 とりあえず、カラスに、ガン玉2号を付けた鈎を埋め込み、水面直下の穴ポコにいるとおもうチヌを狙って、貝をスライドさせて穴に送り込む。最初はのぞかないように気を付けてと。竿が出るのはこの釣法では仕方ないとして。 送り込む…送り込む。 あたらない。 このヘチ竿スライド釣法って、腕を伸ばしてチョンチョンと貝の方向を調整するので、結構、体がこわるんよね。 波止先端まで行ってまた戻ってると、グーッと穂先を押さえた。来た! まあまあの型? でも、なんかおかしい。 上がってきたのは、ほお紅付けたイラだった。なんで上層でカラスに食い付くんだよ! お、向こうで熊さんが、掛けている。竿がグィーっとしなって、必死で耐えている。沖に走ったようで、しゃがんで、しばらく・しばらく我慢している。こりゃでかいぞ。おそらく55cm以上の型じゃないかな。ギャランドウさんが駆け寄っていく。まだ、上がらない。 今が時合いかも。こちらも探り出していくが、やっぱり気になり、振り返ると、どうやら獲ったようで、熊さん、犬走りの向こうにしゃがんで、なにやらごそごそやっている。 相当でかいの上げたようだゾ。見に行ってみよ。近づきながら、 「熊さん、でかかったー?」 無言…。 そばに行って、熊さんがしゃがんでいる陰に横たわってる獲物を見ると、 立派なコブの付いたオスのカンダイ。 「3kg。」 それだけ言って、海にぽちゃんと放流。 どれだけガッカリだったでしょう。お察し致します。ふひひ。 「チヌ、でかいの浮いてますよ。」 「うそー。」 と、まじまじと水面をのぞくと、大きな黒い陰が動いている。 「おるとねぇ!」 気合いが入った。はやり超上層ばい。 再び、穴に集中して入れ込んでいく。 しばらくして、コン。上げるとわずかに貝がつぶされている。アチャ〜。2投後。コン・クッ。掛けた。でも、小さい。これはチヌ。36cm。かーっ。なんで大きいのが喰わんと。 とりあえずストリンガーに掛けとこうかね。 でも、アタリはそれから皆無。 ときどき型のいいチヌは見えるのだけど。喰わせきれない。う〜。 カニをつけてハリス分だけ入れて穴の前にじっと垂らす。 ホレ食え。 ホレホレ釣法じゃ! すると、コ・コンと来た。しかし、まだ小さくなった。31cm。 大きいのいるんだけどな。ハリスを落としてもノーシンカーでも、逆にオモリ重くしても、底まで落としても、全然喰わない。ひどいのなんか、餌の横を平気で泳いでるヤツなんかもいて。
30分ほど車を走らせ。別な港に行く。 しかし、ここもベラだけ。風の当たってる小さい突堤に行って見ると、また、熊さんが竿を曲げている。 ここも穴ポコ。しゃがんで突っ込みをしのぎ、浮かした。ギラリ。 「おー。チヌやん」 「やったね。」 「ハリス分で喰ってきましたよ。カニ。」 おるもんだね。 型は32cmと大きくないが、クロダイだ。しかも、こんな寒そうな場所で。さすが。執念。 それから、しばらくみんな頑張ったけど、竿を握る手に風が冷たく当たって行くだけ。 「どこもなかなか、厳しいねぇ。」 ギャランドウさんは残念賞だったが、この状況で2人、小さいながら型を見たってことで、いいことにしようかね。でも、さみしい。やっぱり。 釣れても釣れなくても、帰りの車の中は、いつも次回釣行の話題と。 |
釣行日 | 場 所 | 潮 | 月齢 | 干満 | 水温 | 天気 | 風 | 状態 | 餌 | 釣果 | サイズ |
12月6日 (土) |
鎮西 |
中 | 13 | 満 7:52 干14:02 |
18 | 雨曇 | 南東強 |
海面波 | カニ |
サンバ | 笑 |
サンバで舞い平成15年度のAMA納会が5日に楽しく終わった。メンバーがそれぞれ今年の反省を言う中にも、このご時勢のきびしさが漂う。比較的楽に釣りの都合が調整できる人もいれば、厳しい現実になかなか行けない人もいる。そんな様々な生活と価値観をもった大人達が今年も集まり、15周年を過ぎようとしている。 人の釣果をむやみに否定するなかれ、自分の釣果をむやみに誇示するなかれ。ただもっとうまくなりたい。たくさんの人と楽しく釣りをしたい。そんな気持ちをもって、おたがい謙虚に切磋琢磨してきたから15年も続いたのではなかろうか。 来年も、いろんな障害をなんとか調整しながら、もっと釣れるように、もっと楽しくやりたいもんだ。 といっても、今年は、まだ終わってない。納会の次の日、熊さんと波止に立っていた。 落とし込みサンバだ。初めての場所。への字の波止でマス構造。縦スリットのかわりに1mぐらいの丸い穴が空いて、うねりで波止際は、もみくちゃになっている。 まず、1度ここに来たことのある熊さんが探り出す。僕は遅れてスタート。 「前回は上げを釣ったので、今日は下げの潮の動きと状況を確かめに来たんです。」 熊さんは、仕事でも経営者だけあって、実に分析的なんである。 僕は、とりあえず上層の浮いているヤツを狙うために鈎の上にガン玉3Bを打つ。 鈎はいつものダゴチン専用。4号。道糸・ハリスとも4号。4・4・4でシマシマのフィバーがかからんかな。なんて思いながら夢幻海3.1mでワンストロークずつ探っていく。 変化なし。先に行く熊さんも変化なし。下げ潮があたるはずの面は潮が動いていないが、上げ潮があたる方は、上げ潮の流れと逆にゆっくりと流れている。どうやら潮の変わりっぱなのようだ。 南東の風が非常に強くなり、潮が止まった。たまらず風裏になるはずの面の方に退散。しかし、こちらも周り風で穂先がぶれ、全然落ち着かない。 熊さんは、 「ちょっとテトラに行ってくる。」 と、根元の方のテトラに行く。 僕は腰が痛くなったので、丁度腰掛けのような段に座り、底付近で餌取りにカニをかじらせることに。しばらくすると、ベラのようでベラではないような強さのアタリが出だした。 「ベラかな?本命かな。」 ベラはグッとひいて、パッとはずす。これがムカムカするんよねー。 「グッ。パッ。グッ。パッ。 チョキ!」 ふざけてると、グッ…。放さない。グッ。のまんま。キキ上げていくが放さない。来たか! アワセを入れると、ギュ・ギュー。 「オッ、やったやん。本命!」 でも、そんなに大きくない。穴に入ろうとするが、竿の弾力で何とかなる。浮かして、やっぱり30cm弱のちびガキ。サンバはこのくらいでも十分おいしくいただけるのでキープ。 熊さんも遠くからでもしっかり目撃していたようで、戻ってきて、並んで釣る。 熊さんにアタリ。掛けた。竿に乗った。が、 「アっ!」 スッポン抜け。 ちょっとしてまた掛けた。これは竿がグイーッと曲がった。大きいゾ!前に走る。 「オ!やった!」 と、僕が言ったとたん。スッポーン。また鈎ハズレ 「ア! アーン。」 熊さん残念そうに力が抜ける。 「見られた〜。」「見たよ〜。」「わはは〜。」 それから二人再び沈黙して、次のアタリを待つ。…時間だけが過ぎる。風はますます強くなり…。 我慢できずに10mほど移動。マスの後は壁になっているので、若干釣りやすい。熊さんも横に来た。 すると、すぐに押さえた。ベラじゃない。走るのを期待する。(走れ!)でも、走らない。 我慢できずに穂先を持ち上げ、そのままグイと合わせる。 乗った! 今度はいい型だ。それを見た熊さんも自分の糸を回収してくれる。 竿が真下にしなり、のされそうになる。ちょっと糸を出して、竿を起こして、(緩んだ分だけ追い合わせかけようか。でも、穴にもぐられるかも)躊躇して、そのままためると、前にグ〜ッと走り出した。 ヨッシャ! と思ったとたん! ピン! ぐぁ〜 スッポン抜け。さっきの熊さんと一緒じゃんかぁ。 「ア〜っ!」 へなへな〜。竿を持ったままクルクルーっと舞って、コンクリートにゴロリん。
「みましたよ〜。今のはでかかった。2kgはあったねぇ〜。ヒヒヒ〜。」 そういいながら熊さんの目は、ゼリービーンズのようにニタ〜としている。 「マったーぁ。もー。ワハハー。」 あー、残念だけど久しぶり笑った。 それから二人は再び昼飯も食べずに真剣になって釣る。熊さんの予想通り、下げ潮が走り出し。今に来るかと期待をさせたが、もう本命は来なかった。 「おたがい、おしかったね〜。」 そういって、釣り場をあとにした。釣りって釣れなくても面白いね。 |